ふつつか者の兄ですが 3 弁当のパワー

ふつつか者の兄ですが

(ふつつか者の兄ですがより引用)

ふつつか者の兄ですが 概要

女子高生・田処志乃の悩みは、引きこもりの兄・保の存在。親しい友人にも自分はひとりっ子であると偽り、頑なに秘密にしてきた。そんな志乃の気も知らず、ある日、保は「脱・引きこもり宣言」をするのであった。

ふつつか者の兄ですが 今回のあらすじ

楽しいランチタイム。食欲旺盛な女子高生にとって弁当箱を開ける瞬間は至上のワウクァクタイム。本来ならそうだけど、自分でつくったお弁当では、食欲を満たせてもサプライズはゼロ。

友人3と机をあわせてランチタイム。サキの弁当は母親が凝り性で可愛いキャラ弁を作ってうれて、他の友人はオムライスならず、オムナポリタン。志乃は、自分で作ったバランスのとれた弁当を開く。サキが志乃のレンコンのキンピラを交換してほしいという。サキは、志乃の母親の渋いおかず好きだというサキに、本当は自分が作ったなどとはいえない志乃だった。

バイト先に現れた兄に、バイト先ではひとりっ子てしていると兄にいったことを言いすぎかとも反省するも、とりあえずは帰ったら「ただいま」というと思う志乃。

帰ると台所に立ってレシピ本を読む兄がいた。いろいろ考えているうちに「ただいま」をいえなかった志乃。弁当を流し台に出して洗っていると、兄が弁当は自分が作っているのかと聞かれ、ほかに誰がつくるのというと、あ、そうかと納得してまた無言になる兄だった。気まずい雰囲気に、志乃は兄がなぜ部屋から出てきたのかを考える。

次の朝、兄が弁当を作ってくれていた。そのトリッキーな行動に志乃は青ざめる。少し照れくさそうにはにかむ兄を見て、志乃は引きこもる前の兄のイメージと異なっているので違和感があった。もっと、少しワルで中二感が漂っていた兄だったのにと。

志乃は得体の知れない怖さがあったが、これを断ったら学校にまで弁当を届けられるのだけは避けたいと受け取る。

ランチタイムにあけるのは怖いのであらかじめ中身を確かめておこうと階段のところで弁当を開こうとする志乃。そこに、気になっている男子生徒・夏井が通り、志乃に声をかけてくれる。時間をかけてスタイリングした髪形を褒めてくれて嬉しくなる志乃。そんなやりとりをしている間に休み時間が終わり、弁当の中身を確認することなく、ランチタイムに突入してしまった。
ぶっつけ本番を前にして最悪なパターンを考えてしまう。しかし、そう考えても始まらない。意を決して弁当箱の蓋を掴み、力強く開ける。プチトマトと肉巻きアスパラ、冷凍食品や既製品だけど、彩りも悪くなく以外とまともだった。ただ、全体的に「顔」に作られていて、志乃は恥ずかしくて早く「顔」と認識できないぐらいまでに食べてしまおうとがっつく。友人に指摘されて、苦笑いになる志乃。

弁当箱は2段構え、上段だけで主食とおかずが完成されているなかで下段に何があるのかと不安になりながらも開けて見ると下段にはウサギの形にカットしたリンゴ「うさぎリンゴ」が入っていた。

うさぎリンゴは志乃にとっては思い出のフルーツだった。幼い頃、遠足の弁当に「うさぎリンゴ」を希望するも、皮のところに農薬があるということで母親に許否されて泣いた思い出あがった。それをみていた兄が、母親が外出している間に、妹に「うさぎリンゴ」を切ってやろうと奮闘するも不細工にしか切れず、しかも母親が帰ってきて大目玉をくらったこと。リンゴのことは全部自分がやったといい妹をかばった兄のことを思い出す志乃。

友人たちは、志乃の「うさぎリンゴ」を見てデザートの交換をしたがる。おかずは冷凍食品やいつも冷蔵庫にはいっているものばかり、デザートはリンゴでバランスもいまいち。でも人が作ってくれたお弁当ってだけで、この日はいつもよりおしゃべりになった気がすると笑顔の志乃。

ふつつか者の兄ですが

(ふつつか者の兄ですがより引用)

帰宅すると、台所に兄がした。志乃は「ありがとう」が先か「ただいま」が先か迷っているうちに言いそびれる。兄は「今日バイトだろ」と切り出し、晩メシは俺がつくろうかなといいだす」。それに対してもそっけない返事しかしない志乃。兄は弁当箱洗うから出してといわれ、志乃はぶっきらぼうに渡す。兄は弁当箱を開いて完食されていたことに少し嬉しくなる。志乃は背を向けたまま「ごちそうさま」というと兄は「うさぎリンゴ」があれであっていたかを聞く。志乃は、数年他人みたいに過ごしても兄なんだなと。4年間、健全な兄だったら自分の4年間ももっと全然別モノだったかもしれないんだよと心が揺れる。

ふつつか者の兄ですが

(ふつつか者の兄ですがより引用)

ふつつか者の兄ですが 今回の感想

私も学生の頃、弁当は自分で作り続けていた。冷蔵庫に食材が入っていない時は弁当がつくれないので、180円のロールパンの袋を握り締めて3日間耐え忍んでいた。理由は、その節約でゲーセンでゲームをしたかったから。金銭は、親から1円ももらえない(小学校から高校までおこづかいをもらったことがない)ので自分で稼いだお金を無駄にしたくなかった。

おこづかいがないけど、冷蔵庫に入っているものは使ってもいいということだったのであれば弁当を作っていた。でも、小学生の小さい頃、学校の遠足で母親が作ってくれたお弁当はとてもワクワクした思い出がある。志乃のいう通り、自分で作ったらサプライズのワクワクは何もない。

小学校の中学年のときに、遠足は雨で中止になったんだけど、弁当を作ってもらえなかった私は、教室でみんなが少しずつ弁当をわけてもらって嬉し泣きをしたことを思い出す。人生初めての嬉し泣きだったかもしれない。

お弁当ってそんな思い出を作る力がある。

志乃も皮ついたリンゴごときというけど、それほどにパワーがあると思うよ、弁当には。


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